あんたこの「4人がいない世界」をどう思う


3本観た映画の感想、ラスト。


かなり話題になりました『イエスタデイ(原題:Yesderday)』、
導入部に関してはもう皆さんご存知でしょう。


世界中でほんの10数秒の謎の大停電、そのタイミングで交通事故に
遭ってしまったのが売れないシンガーソングライター。
幸い軽症で済んだ彼が意識を取り戻すと、世界からビートルズの
存在が消え失せていた。
曲を歌って聴かせても誰も知らない、自分のレコード棚からは
アルバムがなくなっていて、ネット検索でもヒットせず。
「じゃあオレがビートルズソングを歌っちゃったら?」


こうして主人公ジャックは世界規模の大スターになりおおせますが、
もちろんそれだけでお話が終わるはずもなく、果たしてどういう
展開が待っているのかという…


公開から時間が経ってますし、ウィキペディアでは結末を含めた
ストーリーが紹介されてしまってますので(これはひどい。誰だ?)、
自分もネタバレで雑感をあげておきます。
写真の下から。

イエスタデイ.png

●さっそくショッピングモールでのステージでビートルズを歌う
ジャックだが、「いつもの歌手」が「いつもの場所」で演奏しても
簡単に奇跡は起こらず、客はろくに聴いてない。どんな名曲も
何の装飾も宣伝もなしにヒットはしないということか。

●エド・シーランが本人役で出演、それもけっこう出番が多く
ちゃんと演技している。いろんな意味でジャックの引き立て役
であり、こういう形での起用は面白い。エドと、彼の辣腕女性
マネージャーに認められたことでジャックの道が拓ける。

●本職の学校教師の傍ら献身的にマネージャー役を務める、
幼なじみのエリー。彼女の女としての気持ちに鈍いジャックは
「妹とはデキない」なんて平気で言っちゃう、馬鹿馬鹿馬鹿。
『俺たちの旅』のカースケのようだ。ジャックがスターに
なったことでエリーは自ら距離を置くように。

●冒頭、軽薄キャラ丸出しで登場する旧友ロッキー。エリーに
代わってマネージャー役となり、ジャックが他人の曲で虚名を
上げたことに苦しみ始める中、彼の良き相棒、そして最後には
重要な協力者に。じゅうぶん予想のつく展開だが、これは美味しい
キャラ。たまに出てきてボケるジャックの父親も笑える。

●アルバム発売の告知に、ジャックの故郷のホテル屋上が会場に
使われる。ビートルズのルーフトップコンサートを模した設定か?
ここで披露される「Help!」は、このときのジャックと、曲を書いた
当時のジョン・レノンの心情が重なるようで上手い使い方。

●そんなジャックの元に、ビートルズの存在を知る初老の男女が
訪ねて来る。2人はジャックの心中を理解しており、彼を責める
ことなく「彼ら(ビートルズ)の曲を伝えてくれてありがとう」と
感謝する。感極まるジャック。こちらも目から汗が…

●2人から渡されたメモの住所、辺鄙な海辺の小屋を訪ねると、
そこにいたのは静かな生活を送る78歳のジョン・レノンだった!
これはやられた。 突然の見知らぬ訪問者を気さくに迎えるジョン、
淡々と自分の過去を振り返り、何が人生の幸せなのかを説く彼の
言葉に、ジャックの気持ちは決まった。

●エドのライブにゲスト出演したジャック、すでに他の男性と
付き合い始めていたエリーも観覧に。そこで歌い終えたジャックは
大観衆を前にエリーへの愛を告白、自分の作品が本当はビートルズの
ものであることも発表してしまう。目の汗が止まらない場面。
エリーはジャックの元へ戻るのだが、結局フラれてしまった彼氏
(実はジャックに最初のレコーディング場所を提供したスタジオ
の所有者)のセリフがいい。
「僕はNO.2なんだね。でも2位にも名曲はあるさ」。
別にチャートマニアに向けたものではありません。

●全曲をネット上に無料公開し、楽曲の利益を放棄したジャックは
エリーと結婚、2人の子供も授かって、生徒たちの前でビートルズ
ソングを歌う平穏で幸福な生活を送るのでした…


ぐんぐんストーリーが盛り上がる中、最後は意外にこじんまりと
着地した印象でした。
自らスターの座を降りるにしても、ビジネス上そう簡単な話では
ないでしょうし(鬼の形相のマネージャーやマスコミに追い回され
そうになるシーンあり)、もう少し苦味を伴う結末かと思っていた
のですが。というのは自分がヒネてるせいなのか?


あと、結局最後まで「ビートルズがいない世界」のまま
終わっちゃうんですね(笑)ええのか。ええのんか。
ある意味突拍子もない設定に観客をどう引き込むか、
その点は成功していたと思います。


『Rocketman』を含め、2ヶ月ちょっとで3回も映画館に
足を運んでしまいました(いずれも音楽関連の作品)。
単純な比較は難しいのですが、ライヴやスポーツ観戦、
CD1枚の価格より安く済む娯楽ではあるんですよね。


またときどき上映スケジュールでもチェックしてみましょう。


 

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