お買い物CD・294

今回は大物に敬意を表し、
このアルバムを単独で取り上げます。



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♪ Egypt Station / Paul McCartney (’18)

 約5年ブリの新作、ワールドツアーでの来日も決まり、本当に
 この人は仕事(音楽)好きというか。前作『New』(’13)で作風が
 少し若返ったような印象を受けましたが、好調は維持されて
 いるようです。

 プロデューサーにはAdeleを手がけてグラミー・ウィナーと
 なったGreg Kurstinを起用、もちろん手腕を評価してのこと
 でしょうが、現行シーンとの接点を持っておこうという狙いも
 あるのかも。バラードの②< I Don't Know > ⑫< Do It Now >、
 ポップ・ロックな③< Come On To Me > ⑤< Who Cares >、
 お得意のアイルランド調④< Happy With You >、スケールの
 大きな曲調にメッセージ性のある歌詞がこの人らしい
 ⑧< People Want Peace > ⑭< Despite Repeated Warnings >
 と、ヴァラエティに富んだ内容。⑩< Dominoes >でのBeatles
 時代を思わせるサウンドエフェクト、⑫のクラシカルなアレンジ、
 ⑭では2つの曲をつなげるスタイル、さらに⑯< Hunt You Down
 / Naked / C-Link >はタイトル通り3曲のメドレー形式で、
 長くPaulを聴いている人ほど「ああ、またやってる」とニンマリ
 させられる手法があちこちに。ボートラ2曲が期待以上の出来
 だったことも含め、76歳にしては、という但し書きなど不要な
 元気さには頭が下がります。

 あえて辛口評も述べるとするなら、声質は明らかに若い頃と
 比べて変わりました。高音の張りは目減りし、ハスキーに
 聴こえる部分もあります。ただ、それはどんなシンガーにも
 起こること。聴き進むうちにまったく気にならなくなり、むしろ
 これはこれで魅力的に感じられるのはファンの贔屓目か?
 ヴォーカリストとしての力量、キャリアが経年変化をしっかり
 カヴァーしていると自分は受け取りました。

 楽曲の出来も、シビアに言ってしまえば、最初の数秒で
 リスナーを虜にしてしまった80年代前半までの作品に
 比べればやや地味ではあります。ただそれはあくまで
 “ロック史に残る偉業の数々”レベルと比較してのこと。
 引き合いに出すのも何ですが、とんと新曲を出さなくなった
 Rolling Stones(前作はブルースのカヴァー集)やStevie
 Wonderよりはクリエイティヴィティが涸れておらず、
 よほどファンを喜ばせてくれていると言えるでしょう。
 いずれにせよ、今作それ自体が優れた内容であることは
 間違いありません。

 来月のライヴがさらに楽しみになってきました。

 


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